「HOME」家で 「SPUN」紡いだ
羊毛を 手染め 手紡ぎ 手織りした
軽く温かい ざっくりとした風合いの織物
岩手のホームスパン技法は
明治時代 綿羊飼育が導入された際に
英国人宣教師によって伝えられた
大正・昭和にかけては農家の副業となり
現在は地場産業として生き続けている
その感触は肌に馴染み
丁寧な作りは長くの使用に応える
大阪の催事を終えて盛岡へ戻ると、すっかり秋も終盤の様相になっていました。暖かいと思った大阪も帰る頃には寒くなってきて、たくさんの旅立ったマフラーたちがお役にたつのだな、と嬉しく思いました。
「趣味どきっ!」でホームスパンを初めて知って使ってみたくて、とのお声をたくさんお聞きしました。取材を受けることはなかなかたいへんなのですが、こうして「ホームスパン」がたくさんの方に届いたことを感じると、本当によかったな、有難いことだなと感謝の念が尽きません。
さ、明日からは盛岡で「ホームスパンの素(モト)」、かわとく壱番館内丸店で展示販売があります。新作のノーカラーコートはベーシックな紺グレーベースのヘリンボーン地。東京でも大阪でも好評でした。ほか、マフラーやニット、寒さ本格化する岩手の必須アイテムを並べます。また、素材の染色羊毛とカード毛や手紡糸も展示します。ぜひぜひ、11/23(土)~28(木)は「ホームスパンの素(モト)」へお越しください!!
みちのくあかね会のホームスパンマフラーはすべて手作業で作られています。
染め、紡ぎ、織りはそれぞれの工程に分かれて担当しています。
作るものによって羊毛の種類を選ぶ。
原毛を染料で染める。
手で毛の固まりをほぐす。
カード機に通し繊維をそろえる。同時に混色も行う。
回転をかけ、太さと撚りを調節しながら糸にする。
たて糸の幅の必要な本数と長さを整え、巻き取る。
たて糸を織りのデザインに合わせて通し、機にセットする。
シャトル(ひ)を使い、たて糸によこ糸を組み合わせて布に織る。
織り違いや結び目が無いかチェックし、手直しをする。
お湯に入れて軽く押し洗いし、生地の風合いを出す。
みちのくあかね会は戦後、夫を失った女性が暮らしの糧を生み出すための授産施設として始まりました。昭和33年に「盛岡婦人共同作業所」が発足し、そこで製造されたホームスパンを販売するため昭和37年に「株式会社みちのくあかね会」が設立されました。創業50年を越える現在に至るまで、製作のすべての工程はもちろん運営もすべて女性だけで行われている由縁です。
古い木造の建物でみちのくあかね会のホームスパンは作られています。ここでの日々はよく「時が止まったよう」だと評されます。暑い日は開け放された窓から響く機の音を便りに、旅の方がお立ち寄りになります。極寒の日には染め作業中の湯気や手に触れる羊毛の暖かさが身に沁みます。盛岡市街とさほど離れぬこの場所で、タイムスリップしたような風景の中で、五感を通してホームスパンを味わいながら作っております。